秋山社長、奥様は身代わりになりたくないと言っています

謎の交通事故で三年間昏睡。目覚めた中村美咲が知らされた、二つの現実。
一つは、最愛の双子の姉の死。
もう一つは、見知らぬ男・秋山彰との結婚という名の、『姉の身代わり』という過酷な運命だった。
彼は「愛している」と涙ながらに訴えながら、彼女を残酷に扱う。
最初は離婚を望んでいた美咲だったが、いつしか彼の歪んだ愛情に縛られ、溺れていく。
しかし、彼が別の女性と結婚式を挙げる会場の前で、彼女の心は完全に冷え切った。
逃げ出したい。だが、彼の幸せの邪魔はしたくない――
そう決意した彼女は、報道陣のフラッシュを浴びて、橋の欄干へと歩みを進めた。
そして、まもなく産まれるはずだった命を宿したお腹を抱え、川へと身を投げた……