Chapter 3: それは突然降り注いだ光だった
Editor: Pactera-novel
安藤雅はあまり気乗りしていなかったが、白木芙の強い希望で、彼女の髪も美しい銀白色に染められた。
陽光の下、彼女は不満そうにしゃがみ込んでいた。
「一枚、二枚、三枚……」
彼女は信用コインを数えていた。一枚一枚数え終わるたびに、指を折っていく。
「これからは毎日お粥を薄めて食べるしかないね」
白木芙は口元をピクッとさせた。
彼女がここに来たのはお粥を薄めて飲むためじゃない。転移前に節約で薄いお粥を飲み、転移後も薄いお粥を飲むなんて、転移した意味がまったくないではないか。
彼女は安藤雅の肩をポンと叩いた。
「大丈夫、私たちが動き出せば、すべてうまくいくさ！」
実際、金さえあれば、彼女は自分と安藤雅を「陰陽コンビ」のようにコスプレさせたいくらいだった。
【白木芙：白髪に黒いスーツ】
【安藤雅：黒髪に白いスーツ】
こんな格好でプレイヤーの前に立てば、トムのようにプレイヤーを手玉に取れないなんてありえない。もしできなかったら、その場でプレイヤーを食べてやる！
安藤雅をなだめた後、そろそろ本題に入る時だ。
だが、どこでプレイヤーの好感度を上げればいいのだろう？
廃棄冷却工場というこの居住区は思ったより広く、街中で価値のあるプレイヤーをランダムに探すのは非常に手間がかかる。
そこで白木芙は、髪を染めている間に【星遊社】というゲームコミュニティを開き、廃棄冷却工場エリアを検索して、何か手がかりがないか探してみた。
コミュニティは非常に活気にあふれ、プレイヤーたちが積極的に体験談をシェアしていた。
【兄弟たち、古の神みたいな顔を作ったら、ゲームに入った瞬間捕まっちゃった。キャラ削除して再開する方法は？オンラインで待ってる、超急いでる】
【参ったな、なんで性別固定なんだ？女キャラでプレイしたいのに！】
【評価下げとく。ゲームがOOのモデル作ったのに、支給されたボクサーパンツが脱げないんだけど】
【18+パッチ求む、良い人一生平安】
白木芙は呆れながらも目を皿のようにして見ていた。
これらのおかしなプレイヤーは無視し、彼女は「救助」対象を探し続けた。
原則として、彼女には「救わない」四つの基準があった。
プロプレイヤーは救わない：彼らは専門的すぎて、彼らが困っている状況は彼女が解決できるレベルではない。
賢いプレイヤーは救わない：頭が良すぎる。接触するとプレッシャーが大きく、足元をすくわれて努力が水の泡になる危険がある。
戦闘狂プレイヤーは救わない：冷酷で、頭の中は「戦闘！爽快！」でいっぱい。うっかりHPバーを見せようものなら、斬られかねない。
快晴プレイヤーは救わない：狂気じみていて、彼らの思考はシュレーディンガーの猫のようだ。行動するまで何をするかまったく予測できない。
白木芙はコミュニティの掲示板とライブ配信セクションを行き来し、美容院を出る頃になって、ようやく面白いターゲットを見つけた。
タイトルは【（お散歩シミュレーター）ゼロから始める星団案内・廃棄冷却工場編】。配信者は【発掘姫】というプレイヤーだった。
彼女は廃棄冷却工場の大通りや路地をぶらぶらと歩き回り、時折「ああ、この光、ああ、この水」といった感嘆の声をあげていた。
正直、内容はそれほど面白くなかったが、配信ルームの視聴者数はすでに四桁に達していた。
視聴者の一部は景色を見に、多くはマップ作成の参考にするために来ていた。無料で測量してくれる人がいるなら、急いで入って学ばない手はない。
景色鑑賞とマップ作成以外の残りの視聴者は、いわば「野次馬」だった。発掘姫自体が面白くなくても、彼女の配信画面は十分に刺激的だったからだ。
【わあ、向こうで喧嘩してる、レンガで股間を殴り合ってるぞ】
【見たけど、打撃感がいまいちだな】
【さっきの人は完全にエビだったな】
【なんだと？この打撃感でまだ足りないって？お前がやってみろよ】
【何の感覚だ？】
これらのコメントに白木芙は一瞥をくれただけだった。彼女が注目したのは、配信ルームの古参ファンたちのコメントだった。
それらを通して、彼女は発掘姫がゲーム動画を専門とする配信者であることを知った。
ゲームの腕前が極めて低いため、発掘姫は『お散歩シミュレーター』、『ゲーム考古学』、『新作ゲーム発掘』といった動画でしかファンを集められなかった。
しかし、2年半動画を投稿し続けても、彼女のファン数はさほど増えなかった。
ゲーム考古学の分野にはすでに多くの高品質な配信者がおり、新人が新しい切り口を見つけられなければ、成功は難しかった。
新作ゲームの発掘という点では、彼女は決して下手ではなく、むしろ「やりすぎ」だった。
発掘姫の特技は、特に「過剰解釈」が得意なことだ。
彼女は『エルデンリング』よりも断片的なゲーム情報から、『三国志』よりも波乱万丈なストーリーを推論することができた。
「信じられない？じゃあ、見てな！」
これが発掘姫の口癖だった。
最初のうちは視聴者も信じた。え？このキャラがそんなに重要なの？このストーリーって本当にそんなに深いの？
しかし、しばらくするとゲームのプランナーが実際のゲーム内容で彼女に教えてくれた。「姉さん、私たちそこまで考えてませんって！」
こうしたことが何度も繰り返され、発掘姫の新作ゲーム発掘コーナーは次第に人気を失った。
だが、彼女は諦めが悪い。
彼女は、間違っているのは自分ではなく、世界の側だと思い込んでいた！
彼女の言葉を借りれば——
私はまだ、自分の魂と共鳴できるゲームに出会っていないだけだ。そんなゲームが現れた日には、私は灼熱の戦矛をもって、過去のすべての嘲笑を串刺しにしてやる。
これに対し、大多数のプレイヤーの評価は——
中二病、再発かな？
あちこちを歩き回る発掘姫を見ながら、白木芙はふと、得心のいく笑みを浮かべた。
ゲーム下手 ＋ 頭はあまり良くない ＋ 過剰解釈が得意 ＋ ライブ配信中。
これこそ、彼女が探し求めてきた「天命の子」ではあるまいか？
ふふ、女よ、あなたは見事に私の興味を引いたわね！
白木芙は元々、金を払って誰かを雇い、発掘姫にトラブルを起こさせてから救世主として現れる計画だったが、すぐにその必要はないことに気づいた。
なぜなら、発掘姫はもうすでに、歩きにくい路地へと足を踏み入れていたからだ。
民風淳朴な廃棄冷却工場では、このような路地には90%以上の確率で、少なくとも一人の「通行止めマン」がいる。
案の定、ガラクタが散乱する路地に入ると、発掘姫はタンクトップ姿の筋骨隆々の大男に行く手を阻まれた。
「あら？」
白木芙は少し驚いた。
二日前、借金取り立てに行った時、この筋肉ムキムキ男は、彼女を殴ったあのエビ野郎・海老名昇の後ろに立っていなかったか？
実力は平凡。恐れるに足らない。
縁だな、兄弟！
白木芙は、これが復讐と自己イメージ洗浄の絶好の機会だと感じた。
「安藤雅、行くよ、仕事だ！」
……
路地の中で。
眼前の香港漫画さながらの筋肉質の大男を見て、発掘姫の心は沈んでいった。
DIOが自分でパンを何枚食べたか覚えていないように、ゲーム配信者である彼女も、ゲームの中で何度危険な目に遭ったか覚えていなかった。
先週は、陰鬱な精神病院でモンスターに500ラウンドもボコボコにされた。
昨夜寝る前には、P.T.を彷彿とさせるホラーゲームをプレイしていた。
彼女の度胸なら、普通のゲーム内の人間の大男に怯えることはないはずだ。
しかし、彼女はやはり恐怖を感じていた。まるで「猿の金縛り」にあったかのように、身動きが取れなかった。
これは彼女のせいではない。『星団の上』があまりにもリアルすぎるのだ。
あらゆる意味で、リアルすぎた！
このゲームは半年前に正式発表され、宣伝は派手ではなかったが、そのキャッチコピーは多くの人々の注目を集めた。
「呼吸する宇宙」「99%の超高い現実再現度」——期待を十分にかき立てるものだった。
多くの人は誇大広告だと思い、発掘姫も最初はそう考えていた。批判的な気持ちでゲームに入るまで、いわゆる内部テストプレイヤーたちがサクラではないことに気づくまでは。
99%？
100%だ！
これは明らかに、時代を画するゲームだった。
知らない人が見れば、UIが少し追加された現実世界と錯覚するかもしれない！
まさにこの圧倒的なリアルさが、発掘姫に道を塞ぐ大男への本能的恐怖を抱かせた。
もしやられたら、本当に復活できるのか？
「見分けがつかない、まったく見分けがつかないよ！」
その時、道を塞いでいた筋肉質の大男が口を開いた。
「よそ者か？」
「私は……」
「そうみたいだな。ははは、今日はついてる。出かけてすぐによそ者に会えるなんてな」筋肉男は黄ばんだ歯をむき出して笑った。
発掘姫は緊張して言った。「何がしたいの？」
「何がしたいって？もちろん、お前を捕まえて賞金に換えるんだよ。お前たちよそ者は来るなり野火帮をひどく怒らせた。たいしたもんだ！」
ここまで言うと、筋肉男は思わずため息をついた。
地元のボスである野火帮に対して、これらのよそ者は少しも恐れる様子がなく、野火帮の物資箱を盗むばかりか、道を塞がれると逆に「お前は終わりだ、俺たちを怒らせるとそうは問屋がおろさない、天が下で誰もお前を助けられない」などと野火帮を脅す始末。
まさに「紙幣計数機のストライキ」——数えるものがない！
筋肉男は麻袋を取り出し、何も言わずに発掘姫の頭にかぶせた。
「ちょ、ちょっと、あなた…助けて！誰か助けて！」
暗闇に包まれ、発掘姫は必死にもがき始めたが、筋力3の彼女が振りほどけるわけがなかった。
「叫べ、喉が裂けても無駄だぞ！」野火帮が提示する高額な賞金を思い浮かべ、筋肉男は思わず笑い声を漏らした。
この定番の台詞に、配信を見ていたプレイヤーたちは笑いをこらえきれなかった。
【映画みたいだ！】
【配信間違えてない？お散歩シミュレーターだって言うのに】
【ここらの民風、ほんと淳朴だな】
【廃棄冷却工場、別名エイリアンのゴッサムシティ】
笑いが渦巻く中、突然、配信に冷たくも美しく、威厳のある叱責の声が響いた。
「何をしているのですか？」
「ん？」
筋肉男は発掘姫を放し、振り返った。
その隙に、発掘姫はようやく麻袋を脱ぎ捨て、近くの朽ちた木箱にすがってよろめきながら立ち上がった。
筋肉男に視界を遮られていたため、彼女は横に一歩ずれざるを得なかった。
動いた瞬間、灼熱の陽光が目にまぶしく降り注ぎ、彼女は慌てて手で額を覆った。
うわ、まぶしい！
しばらくして、彼女はようやくこの突然の光に目が慣れてきた。
彼女は見た——一人の少女が逆光の中に立っているのを。
柔らかな陽光が少女に黄金の輪郭を与え、斜めから吹き抜ける風が、少女の絹のような銀白色の長い髪を軽やかに揺らめかせていた。
その風は、実に絶妙なタイミングで訪れた。
細長い路地を抜け、散乱した積み荷の隙間を縫い、ついにはまっすぐに発掘姫の眉間へと命中した。
もともとよろめいていた発掘姫は、無意識に口をぽかんと開けた。その瞬間、彼女は何年も前に問われたあの質問に答えられると思った。
「あなたは、光を信じますか？」
「信じます！」
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