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転生したら、前世の私とライバル関係になった 転生したら、前世の私とライバル関係になった

転生したら、前世の私とライバル関係になった

Author: 花咲き花散る年々

© WebNovel

Chapter 1: 悪い知らせ

Editor: Inschain-JA

時田美咲(ときだ みさき)は、いわば姉弟恋のパイオニアだった。彼女は宮崎明人(みやざき あきひと)より十歳年上だった。

誰もこの恋がうまくいくとは思っていなかった。明人の両親も強く反対した。

それでも二人は結婚し――そして離婚した。

唯一の宝物は、息子の時田望(ときだ のぞむ)だった。

夜の十時半になっても望が帰ってこなかった。美咲は携帯を手に取り、彼に電話をかけた。

昼間に「帰りが少し遅くなる」とメッセージが来ていた。だが十時半なら、そろそろ帰ってきてもいいはずだった。明日は彼の二十歳の誕生日なのだから。

電話をかけながら、美咲はパソコンの画面に映る望の写真を見つめた。

それは先週の午後に撮ったもので、柔らかな日差しを受けた望は、まるで光そのもののように眩しかった。

十六の頃から背がみるみる伸び、十七で彼女の身長を越え、今では百八十センチを超える青年になっていた。首から下はすべて脚。母親である彼女は、話すたびに見上げるようになっていた。

幼さの残る丸みを脱ぎ捨てた望の顔立ちは、すでに凛々しく整っていて、少年と男の狭間にある独特の魅力を放っていた。

いつ見ても、美咲は息子を見れば自然と微笑んでしまう。

それほどに誇らしい、彼女の宝物だった。

ふと気づくと、電話は繋がらないままだった。「どうしたのかしら……」

もう一度、いや二度かけても応答はなかった。仕方なく、美咲は望の寮に電話をかけた。

「もしもし……時田望、家に帰っていませんか?」

「分かりません。授業が終わってすぐに荷物をまとめて出ていきました。まさか、本当に大会に行くつもりなんですか?」

その言葉に、美咲の胸が一瞬強く鳴った。電話を切ると、慌てて息子の部屋を探した。――ビザが、なくなっていた。

「まさか、本当に何かの大会に行ったの?……それとも、お父さんのところに?」

普段の望は素直で優しい子だった。ただ、父親のこととなると別だった。

美咲は考え、息子の副カードの利用明細を確認した。

すぐに航空会社の決済履歴が目に入った。しかも二件。飛行機だけではない。新幹線、電車、バスターミナルでも支払いがあった。

「この子……一体何をしてるの……」

考えている時間はなかった。美咲は急いで家を飛び出し、車で空港へ向かった。

広い空港で、彼女は放送センターに頼んで息子の名前を呼び出してもらい、ターミナルを一つずつ回って探した。

二時間以上探し回り、足は重く、声もかすれた。それでも望の姿はどこにもなかった。

携帯の電源も切られていた。

がらんとした空港の真ん中に立ちながら、美咲は泣きたくても泣けなかった。

あの子は、幼いころあんなに明るくて可愛かったのに。

離婚してから、彼女と暮らすようになっても、最初のうちは穏やかで優しかった。だが年月が経つにつれ、どんどん無口になり、心を閉ざしていった。

深く息を吸い込んで、美咲は連絡先を開いた。そして長い間連絡を取っていなかった宮崎明人の名前を見つめ、ためらいなく発信ボタンを押した。

「もしもし、宮崎さん」

返ってきたのは明人の声ではなく、マネージャーの石川霞(いしかわ かすみ)のものだった。

「明人は?」美咲の声はかすれていた。

「今、仕事中で電話に出られません。何か伝言はございますか?」霞の低い声の向こうで、「時間がない」「出発するぞ」と慌ただしい声が聞こえた。外国語のやりとりも混ざっている。

明人は海外にいた。

美咲は目を閉じた。「望が、明人を訪ねるって言っていませんでしたか?」

霞は少し戸惑ったように答えた。「いえ、聞いていませんけど……何かあったんですか?」

「いいえ、何でもありません」美咲は小さな声で答えると、すぐに電話を切った。

ちょうどその時、目の前の大型スクリーンに明人の広告が流れ始めた。背が高く、深い眼差し。一つ一つの仕草に、洗練された紳士の品格が漂っていた。

華やかで、美しく、どこまでも完璧。

あの無名だった青年は、いまや国民的スターになっていた。

美咲は広告を見つめながら思った。遅くとも明日には、海外での彼の動向がニュースを埋め尽くすだろう、と。

四十を過ぎた女優にとって、キャリアは下り坂かもしれない。だが男優――特に宮崎明人にとっては、今まさに全盛期の始まりだった。

ファンは「明人に嫁ぎたい」と叫び、スキャンダルも恋愛報道も一切ない彼に、「いつ結婚するの?」と声を上げ続けていた。

誰も知らなかった。彼に元妻がいて、しかも成人した息子までいることを。

美咲は呆然と立ち尽くした。そして空港を後にし、新幹線駅へ向かった。

夜が明けるまで探し続けたが、望は見つからなかった。携帯も、電源が入らないままだった。

車に戻り、目を真っ赤にした美咲は、警察に通報すべきか迷っていた。そのとき、電話が鳴った。


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