一度死んだ人間は、本当にこういったことを気にしなくなるものだ。
私はさっぱりと電話を切り、携帯を完全拒否モードに設定した。見なければ気にならない。
祖国の素晴らしい山河がまだ私を待っている。
鈴木健太たちと関わり合って時間を無駄にする余裕はない。
もちろん。
私は彼らが私を死に追いやったことを決して許さない。
でも、自分がまだ病気の状態で彼らと争うほど愚かではない。
それはあまりにも馬鹿げている。
むしろ病状を悪化させかねない。
しかし、人には底がないということを私は知らなかった。
祖国の素晴らしい景色を満喫していたその時、親友から急いだ様子で電話がかかってきた。
少し不思議に思った。
親友は私が今リラックスして療養中だと知っているので、特別緊急なことがない限り、絶対に電話をかけてこないはずだ。
どうしたのだろう?
電話に出た。
彼女の声が電話の向こうから焦りを帯びて聞こえてきた。
「ねえ、全国作家コンテストに参加しないって言ってたよね?」
「どうして応募してるの?」
え?
一瞬、私は反応できなかった。
でも次の瞬間には状況が理解できた。
「確認してみるね」
私は冷静に言い終えると、全国作家コンテストの公式サイトにログインし、そこから自分の名前を探した。
「輝夜」
確かに私の名前だった。
私は全国作家コンテストに応募していた。
というか、応募させられていた。
誰が私の代わりに応募する資格があるのか、考えるまでもない。
私の唇から冷笑がこぼれた。
どうやら私が関わりたくないと思っても、しつこく食い下がって、私と全国作家コンテストを無理やり結びつけようとする人がいるようだ。
ただ、相手はこうすることの結果を考えていないようだ。
彼らのこの行動が自滅につながるとも思っていないのだろう。
電話の向こうで親友はまだ静かに待っていて、息遣いにも焦りと心配が感じられた。
私は心が少し温かくなり、安心させるように言った。「私は全国作家コンテストに参加していないわ。安心して。この件がどうなっているのか、真相を明らかにするわ」
「私のことは心配しないで。すべてうまく処理するから」
親友は聞いた後、少しため息をついた。
「わかった、信じてるよ」
電話を切る。
私の目には嘲りの光が宿った。