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喜服を着た新郎新婦を見て、福田大監は表面上の笑みを浮かべながら口を開いた。
「おやおや、公主様、何とも残念なことで」
「ただ、陛下のご命令を伝えずにはおられませぬ。お邪魔でしょうか?」
福田はそう言いながらも、誰も「邪魔だ」とは言えないことを知っていた。
佐藤貴彰はすぐに立ち上がり、敬意を表して答えた。
「大監様はご冗談を。陛下のご命令とは何でしょうか?」
外の客人たちは思わず小声で話し始めた。
「今日は公主様のめでたい日だ。きっと褒賞の勅命だろう」
「それは言うまでもないだろう。公主と婿君は七年子宝に恵まれていない。陛下もさすがに公主府に後継ぎがいないことを気にされているのでは」
「ああ、もしそうなら、婿君は大恥をかくことになるな」
「しっ、声が小さいぞ。婿君に聞こえたら大変だ」
周囲からの同情や嘲笑の目線を感じながら。
私は平然とした表情で、従者に私を福田の前まで押してくるよう命じた。
私が恭しく跪こうとした瞬間、誰かに強く引き離された。
渡辺竜之介が熱心に前に出て、福田に媚びるような笑顔を見せた。
次の瞬間、彼は顔を曇らせて私を睨みつけた。
「これは陛下が私と千景に与えた褒賞だ。お前に何の関係がある」
声は小さかったが、近くの人々には十分聞こえた。
小林千景の顔色は非常に悪かった。彼女は私を引き寄せようと手を伸ばしたが、私はそれを避けた。
「竜之介、貴彰は私の夫であり、公主府唯一の婿君です。
「公主府が褒賞を受ける時、彼も当然一緒に勅命を受け、感謝の意を表すべきです」
この言葉に、皆が驚愕した。
特に渡辺は、千景を信じられない様子で見つめていた。
先ほどまでの傲慢な態度は完全に消えていた。
「千景、どういう意味だ?」
「お前は私こそが真の婿君だと言ったじゃないか?」
「佐藤貴彰は障害者で、子供もいない、公主府の婿君を務める資格がないとも言っていたじゃないか」
彼の声は小さくなかったので、外に立っていた客人たちにも聞こえた。
「何?聞き間違いか?公主様が本当にそんなことを?」
「公主様は夫思いで知られているのに、七年の愛情は全て演技だったのか?」
「本当に人は見かけによらないものだな。見せかけだけでも、どこの野良犬かも知れない女に、
公衆の面前で婿君に恥をかかせるなんて」
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