替身妻、姑嫁バラエティで爆誕

一流のマネージャーとして、黒田希咲は業界で誰からも好かれる存在だった。
松本家の夫人として、上流社会では誰もが彼女に丁寧に挨拶せざるを得なかった。
キャリアウーマンでもあり、富裕層の夫人でもある。黒田希咲を羨ましく思わない者などいるだろうか。

しかし、黒田希咲だけが知っていた――彼女は松本様の心に刻まれた初恋の人の「代役」に過ぎず、すべての栄光は本来の彼女とは無縁のものだということを……。

長く「代役」を続けるうち、次第に虚しさを覚え、自分自身を見失いそうになった。目が覚めた彼女は、松本様からいかにして多くの離婚財産を手に入れるか考え始めた。

まさに離婚財産獲得に奔走しようとしたその時、これまで彼女を疎んでいた姑が突然、姑・嫁リアリティ番組への出演を依頼し、さらに多額の出演料を提示してきた。

黒田希咲は顎を上げて宣言した。
「危険を冒さねば富は得られない。行くしかないわ！」

当初、番組では姑が黒田希咲に難題を吹きかけ、視聴者からは「最も不遇な富豪の嫁！」と同情の声が上がった。

しかしその後、姑は黒田希咲にべったりになり、会う人ごとに「私の嫁は希咲よ！」と自慢するようになった。視聴者は驚嘆した。
「手のひら返しといえば、黒田希咲の姑に限る！」

黒田希咲自身も、まさか姑・嫁番組で大ブレイクするとは思っていなかった。

番組終了後は円満離婚できるはずが、収録終了と同時に姑は松本様に電話した。
「私の大切な希咲と離婚するなら、もうあなたを息子とは認めない。縁を切るからね！」

松本様：？？