薄井様の一番愛し人、また逃げ出した

広田の誰もが知っている、近藤詩織は薄井彰の一番の愛し人だと。結婚前から骨の髓まで溺愛し、結婚後は毎日これ見よがしにラブラブを披露していた。まさか離婚後になっても、彼女をこれ以上ないほど甘やかし放題にするとは！
「社長、近藤お嬢様がまた逃げました！」
「逃げても私の手のひらからは逃れられない」。薄井彰は顔も上げず、冷静に書類にサインをしている。
「社長、近藤お嬢様が『適当な男と結婚してやる』と言っています！」
「任せておけ、その適当な男は俺がなる」。薄井彰はすぐに書類を放り出し、家出した近藤お嬢様を捕まえて、区役所へ婚姻届を出しに連れて行った。
「薄井彰、離して！適当な男と結婚するとしても、あなたとは絶対にしないんだから！」近藤詩織は抗議する。
「はじめまして、俺の名前は「適当な男」、姓は薄井です。」
薄井彰は自己紹介をして、問いかけた。「君は自分が誰だか分かっているのか？」
近藤詩織：「…」
薄井彰は寵愛たっぷりに微笑んだ。「君は薄井の奥さんだ」
近藤詩織：「！！！」
薄井奥さんはその美貌を武器にわがままを振る舞い、薄井様は婚姻を盾に溺愛する。その名も「そうすれば俺たちは天命のカップル」とは！