章 2: 君と結婚する気はない_2
編集者: Pactera-novel
電話を切った後、静は呆然と携帯の通話履歴を何度も見返し、さっき本当に経久から電話があったことを確認した。
彼は結婚していいと言った……彼が結婚を受け入れたのだ……でも……彼は午後にはあれほどはっきり断ったのに、ほんの数時間で、どうして突然考えを変えたのだろうか？
静は不思議に思いながらも、抑えきれない喜びがいつの間にか目元ににじみ出ていた。
彼と初めて出会った時から、彼に近づく機会をずっと待ち続けていた。やっと、六年間、二千日近くも待ったその機会が訪れたのだ……
そう、彼女は彼のことが好きだった。心底から、大好きだった
彼に出会ったその日、彼女の心の中にはたった二文字があった。『一生。』
彼は、彼女が一目見て、運命だと決め、手に入れたいと願った一生の相手だった。
しかし……
ほんの一時の喜びが過ぎると、静はぱったりと顔を曇らせた。
彼は確かに結婚を受け入れてはくれた……でも、それと同時に別のことも言っていた……
彼はこう言った。「あまり関わり合いになりたくない。この結婚は君の言う通り、単なる取引だ。形だけのものってわけさ」
さらに、彼は続けた。「約束した通りにしてほしい。俺の生活に干渉するな、面倒をかけるな。できれば、他人に俺とお前の関係を知られるな」と。
……
二年後。
静が残業を終えて家に着いたのは、夜の十時だった。ドアを開けると、彼女を待っていたのは、いつもの暗く静まり返った部屋である。
大げさで言うわけではない、一年の三百六十五日のうち、三百六十日はこんな光景だ。それでも、毎回毎回、この虚しさに襲われるのだった。
経久……今日もまた、帰っていない……
静は玄関で少し立ち止まり、ため息をついて明かりをつけた。靴を脱ぎ、いつものように、ひとりきりで広くて物寂しい部屋で、就寝前のヨガをこなし、風呂に入り、スキンケアを済ませ、ベッドに入った。
夜更け、静が熟睡していた時、ほんの一瞬で彼女は目を覚ました。まだ目を見開く前から、そばにある存在感で、それが経久であるとわかった。
彼女は一瞬固まったが、すぐに目を見開いた。「お帰り……？」
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