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「どうして急に気を失ったの?」
耳元で騒がしい声がして、私は力を振り絞って瞼を開けた。
目に飛び込んできたのは二師兄の切迫した端正な顔だった。
全身が炎に焼かれるような痛みで、ただ息が詰まる感じがした。
私はまた霊獣を選ぶあの日に戻っていた。
天衍宗には様々な道の修行者が揃っていたが、祖師は獣を使う道を選び、そのため獣を操る功法は宗門内で常に尊ばれていた。
私は単木の霊根を持ち、家の伝統から獣を操る法門を修行し、獣峰では最も師匠に愛されていた。
霊獣と契約を結ぶことは、我が宗で進境を得るための鍵だった。
私はすでに築基の極みに達し、順調に結丹するためには契約する霊獣を選ぶ必要があった。
前世では師匠が私たち数人の優秀な者を集めた。
彼は自ら三年余りかけて奔走し、まさに化形しようとする数匹の霊獣を選んで私たちに提供してくれた。
師姐は目ざとく金丹中期の白虎を選んだ。その虎には上古神獣の窮奇の血が少し流れているという。
末法の時代、霊獣に神獣の血が少しでも流れていることは極めて貴重だった。
そして私は、神獣の血を引く奎牛を選ばず、代わりに奇妙で醜い水蛇を選んだ。
師匠は道中で半死半生の彼を見つけ、特別に連れ帰ったと言った。彼は蛇のようで蛇ではなく、水蛇の棲み処だった。
彼の弱々しく無力な姿を見て、私は同情心を抱いた。
師匠の顔色はとても不機嫌だった。
「栞、よく考えたのか?この水蛇の棲み処には霊根が全くない。私が彼を救ったのも一命を助けるためだけだ。彼はお前とは縁も分もない。あの奎牛は師が特にお前のために探したものだ。気に入らないか?」
私は首を振り子のように振り、最初の一目での縁を信じた。
あの水蛇の棲み処は極めて弱く、龍でも蛇でもなかった。
しかし私は彼のあの縦瞳から懇願と悲しみを見て取った。私は自分の天賦の才能は極めて優れていると固く信じ、どんな霊獣と契約しても、彼を連れて大道を飛昇し、頂点に立てると思っていた。
師匠は私の頑固さを見て、仕方なく頭を振り、背を向けて出て行った。
私はあの水蛇の棲み処を腕に巻きつけ、自分の洞府に連れ帰った。
七日七晩離れずに世話をし、その水蛇の棲み処の体には少し生気が戻った。
その小さな生き物を洗ってきれいにすると、彼の額に黒い角が一対生えていることに気づいた。
龍の角によく似ていた。
彼は単なる瀕死の水蛇の棲み処ではなく、天地間に残された応竜の血を引く者だったのだ。
彼が化形して一朝飛昇し、琉璃の龍門を突破すれば、それは烛龍に次ぐ応竜、天地竜王となる。
彼が琉璃の頂を突破できるよう、私は八荒六合のあらゆる秘境を探し回った。
彼のためなら命を賭けて鯤鵬の目を探し、半人半妖の仙芝になることも厭わなかった。私の霊芝の血脈を得て、水蛇の棲み処の修行は飛躍的に進んだ。
あの日、彼は順調に化神し、まさに私と正式な道侶になろうとしていた。しかし化神の祝典で、彼は九天に龍となって昇り、応竜の姿となった。
天地が震え、宗を守る大陣が開かれた瞬間、龍の威厳で粉々に砕けた。
私は崩れ落ちる石の中から彼に手を伸ばしたが、彼は優しい眼差しで白い鱗に覆われた長い尾を動かし、私の師姐である山本颯斗を持ち上げた。
龍は淵に困り、必ず九天に昇る。
「栞、すべての待ちは価値があった。私はついに天地竜王に化形した。もう誰も私を縛れない。あの日の約束は、すべて果たした」
彼は颯斗を見つめ、深い愛情を湛えた眼差しで、天地竜王の威圧は四海を色褪せさせた。
天道は本当に彼を許したのか?
そして私の天衍宗天獣峰は龍の威で平地と化していた。
血肉模糊になった師匠や手足のように親しい人々を見て、私は怒りに震えた。
目を閉じると、あの日の惨状が今でも目に浮かぶようだった。
白虎の毛皮を撫でながら笑みを浮かべる颯斗を見て、私は彼女の肉を生きたまま食らいたいほどだった。
歯を食いしばり、心の中の憎しみを必死に抑えた。
瓦礫の上に蟠っているあの水蛇の棲み処は、私が必ず彼を選ぶと知っているかのように、ゆっくりと私の方へ泳ぎ寄ってきた。
私はためらうことなくその長虫を飛び越え、目を輝かせて遠くの林にいる白鹿を見つめた。
彼の雪のような白い毛皮は白虎と比べてもさらに優れており、頭の鹿の角は枝分かれし、雄々しく茂っていた。
今、彼は高慢に前足を上げ、万物を見下ろすかのようだった。
この白鹿は師匠が探してきた霊獣ではなく、たまたまこの山林を通りかかっただけだった。
前世でも彼はここに立ち寄ったが、誰も彼の存在に気づかなかった。彼の修為は非常に強大で、一目では見抜けなかった。
皆が霊獣を選び血で契約を結んだ後、ようやく鹿の鳴き声が聞こえた。
彼は四肢を空に蹴り上げ、祥雲を踏んで去っていった。
三界の中でさえ彼の姿は見つからなかった。
再び彼の噂を聞いたのは、私が空中秘境で人々の雑談を耳にした時だった。
白鹿の修行速度は極めて速く、わずか数十年で既に化神の境地に達していた。
化神雷劫は本来彼を上古神獣の白沢へと飛昇させるはずだったが、思いがけず紫霄神雷に打たれ、神形ともに滅んでしまった。
白沢は祥瑞の象徴であり、その血脈は上古の龍や鳳よりも尊いとされていた。
当時の私はそれを食後の話題程度にしか思わず、天材地宝を探して水蛇の棲み処の飛昇を助けることばかり考えていた。
今思えば、血筋の純粋でない雑種の水蛇の棲み処でさえ龍にすることができたのだから、白沢の飛昇を助けるのもそれほど難しくはないだろう。
私は丹田に気を運び、身を一閃させて白沢の側に現れ、直接鹿の頭を抱え、その角に触れた。
「師匠、弟子はこの白鹿を選びます」
皆はようやく周囲にこのような大きな白鹿が隠れていたことに気づいた。
師匠は白鹿を見て目を細めた。
その白鹿はまだ化形していなかったが、目には高慢な色が満ちており、私を見ると鼻から二筋の熱い息を吐いた。
彼が拒否しないのを見て、私はようやく少し安心した。
師匠も何かを見抜いたのか、喜色を浮かべた。
「良い、良いぞ……」
「栞、この白鹿と契約できるのはお前の幸運だ。お前の福はこれからだ」
師匠の言葉を聞いて私は心が引き締まり、前世の様々な出来事が脳裏に浮かんだ。
私は密かに歯を食いしばり、師姐の颯斗をちらりと見た。私がいる限り、必ず宗門を守り抜くと決意した。
そのとき、場違いな声が突然調和を破った。
「だめだ、お前は本来私を選ぶべきなのだ」
その声は歯ぎしりし、心を引き裂くようで、皆が驚いて目を見開いた。
「誰が話している?」
数人の師兄が急いで周囲を探した。
師匠も眉をひそめ、長い袖を振るうと、木に巻きついて上へと蜿蜒していた水蛇の棲み処が一道の盾の光に打たれ、転がって皆の前に落ちた。
「どこから来た長虫だ、こんなに大きいのに、我々は気づかなかったとは」
二師兄は驚いて手の長剣を抜いた。
その水蛇の棲み処は体の痛みも構わず、全力で蛇の頭を持ち上げた。
「栞、私こそがお前と契約すべき霊獣だ。見てくれ、私には応竜の血脈がある。琉璃の頂を砕けば、天地竜王になれる」
「私こそがお前の良き伴侶となり、必ずお前と道侶となって、永遠に共に歩む」
彼の言葉は一斉に騒ぎを引き起こした。
「あの気持ち悪い姿を見ろよ、本当に分をわきまえない。まだ我らの小師妹に目をつけるとは」
「そうだとも、小師妹は我らの掌中の宝だ。いつから一匹の水蛇の棲み処が決定権を持つようになった?」
二師兄の剣はもうすぐその水蛇の棲み処の急所を突こうとしていたが、彼は避けようともせず、じっと私を見つめ、縦瞳に危険な光を宿していた。
無形の威圧が密かに襲ってきた。このような問いかけに直面し、私は目を細めた。まさか伊藤渉も転生したのか。
天道は本当に私に優しい。これはとても良いことだ。
もし彼が前世のことを覚えていなければ、私が手を下す時、どこに雪辱の快感があるだろうか?