彼の尖った顎を摘んで、顔を上げさせた。
唇が彼の唇に触れた。
彼の息が止まるのを感じた。
私の心の中の不安が静まっていった。
ふん、藤原悠佑、今回は私の勝ちよ。
私は彼の後頭部に手を添え、キスを深めた。
脚を上げて彼の上に跨った。
その場で彼を責め立てた。
「月華、自分が何をしているのか分かっているのか?」
「分かってるわ、あなたを犯すの!」
一夜の激しい情事の後。
干し草の山に横たわる、乱れた姿の藤原若侯爵様を見つめた。
この忌々しい人は、壊れた美しさまで纏っている。
私は服を整え、洞窟を出た。
馬に跨って都に戻った。
家に戻ると、私は湯浴みをして三日三晩眠り続けた。
御醫の家に行き、再診を受けた。
「出血は自然に止まったけど、私はあとどのくらい生きられるの?」
すると御醫は不思議そうな顔で私を見た。
「郡主様、そんな縁起でもないことを。」
「郡主様はお若く、お元気そのもの。どうして亡くなるなどと。」
私は机を叩いた。
「前回はそんなこと言わなかったじゃない!」
「あぁ、郡主様、女性には毎月そういう日が。」
「下官は男でございますので、詳しくは申し上げかねます。」
「誤解でございます、すべて誤解でございます。」
私は泣くべきか笑うべきか分からなかった。
姫君邸への帰り道、洞窟での無謀な一夜を思い出した。
顔を覆い、もう藤原悠佑に会わせる顔なんてないわ。
道の向かい側で盛大な鐘や太鼓の音が響いた。
婚礼の行列のようで、通りの端まで見えないほど長い。
どこの家の婚礼かしら。
「月華!」
ある人が真紅の衣装で婚礼の行列の脇から馬を走らせてきた。
「あなた、結婚するの?」
私は何とも言えない気持ちになった。
「馬鹿だな、他の誰と結婚するというんだ。」