藤原修は人に取り入るのが上手で、子のいない皇后も彼を受け入れた。
今上陛下は丹薬に溺れ、後宮に行かなくなったため、後宮には子が生まれなかった。
皇后には養子を取る方法しかなく、藤原修には実母がいないため、これ以上ない相応しい人選だった!
藤原修は後宮の子となり、待遇は格段に良くなった。
私が彼に再び会ったのは、三皇子が去って半年後のことだった。
「皇太子様、なぜこの間ずっと私に会いに来てくださらなかったのですか?」
私は藤原修を見つめながら、涙を浮かべて不満げに尋ねた。
今日の装いは念入りに選んだもので、間違いなく可憐な雰囲気を醸し出すもので、藤原修の好みに合うはずだった。
案の定、藤原修は慌てて説明し始めた。
「私の不注意でした。この十日間は忙しかったのですが、今では少し成果も出てきました。あなたのおかげです」
「この期間の事を片付けたら、父上に願い出て、あなたとの結婚を求めるつもりです」
私は「うん」と答え、涙を流した。
しかし私には分かっていた。今上陛下は疑り深くなる一方で、今や皇后派となった藤原修が私との結婚を望むなど、夢物語に過ぎないことを。
私は書店に立ち寄った後、屋敷に戻った。
「お母様」
柳田雪乃と高橋夫人を見かけ、私は近寄っていった。
高橋夫人は私がこの期間おとなしくしていたのを見て、安心した様子だった。
「自分の過ちに気付いてくれて良かったわ。雪乃ちゃんは私たちの屋敷で長年過ごしてきて、もう家族同然なのよ」
私は笑いながら頷いた。
「お母様のおっしゃる通りです。私は以前間違った考えを持っていました」
「今日、皇太子殿下にお会いしたのですが、殿下は私との結婚を願い出たいとおっしゃいました」
「それで雪乃ちゃんのことを思い出したのです。私たちは皆、雪乃ちゃんの家族なのですから、雪乃ちゃんのことも真剣に考えなければなりません」
高橋夫人は私の言葉に納得した様子だった。
柳田雪乃は顔色を変えた。私には彼女が藤原修と結婚したがっているのが分かっていた。
「おばさま、私はもう少し皆様と過ごしたいのです」
私は笑った。
「雪乃ちゃん、婚約するだけよ。すぐに嫁に行くわけじゃないわ」
高橋夫人も私の考えに賛同した。
「そうよ、都の若い才能ある方々の中から選んでみなさい。おばさまが見極めてあげるわ」