5
避難所全体が恐ろしいほど静まり返っていた。
地下通路の空気には濃厚な腐敗臭と血の匂いが漂っていた。
私は入口に立ち、指で枠をしっかりと掴み、雨のように涙を流した。
本来なら老人や女性、子供でいっぱいのはずだったこの避難所には、今や切断された手足しか残っていなかった。
終わりだ、すべてが終わってしまった。
山田昭の靴が、まだ固まっていない血溜まりを踏んだ。その血溜まりには半分に切れた指が沈んでいた。
切断された指には古い指ぬきがはめられていた。
彼はすぐにそれが自分の母親が服を縫うときにいつも使っていたものだと気づいた!
「どうしてこんなことに……」
昭の声は震えて調子が狂い、血に染まった指ぬきを拾おうとして膝が強く地面に打ちつけられた。
彼は地面に跪いて号泣した。
若い隊員の一人が突然地面に膝をつき、震えながら小さなヘアピンを拾い上げた。
それは彼の妹が毎日前髪につけていたピンク色のイチゴのヘアピンだった。
彼はヘアピンを握りしめ額に押し当て、肩を激しく震わせながら、必死に自分の頬を叩いた。
「兄さんがお前を置いていくべきじゃなかった、置いていくべきじゃなかった」
後悔の念が疫病のように広がっていった。
拳で壁を叩く者もいれば、地面に崩れ落ち、虚ろな目で家族の名前を呟く者もいた。
数人は抱き合って泣き崩れ、涙が顔の血の汚れと混ざり合い、青白い灯りの下で特に目を引いた。
私は壁に寄りかかってゆっくりと地面に座り込み、胸が痛くて息もできないほどだった。
温かい一滴が手の甲に落ちた。
そのとき初めて、自分が涙でいっぱいだということに気づいた。
目の前の惨状を見て、鈴木柔はむせび泣き、涙が糸の切れた珠のように流れ落ち、悲しみのあまり言葉を続けられないようだった。
「ゾンビがどうして今日避難所を襲ったのかしら。もしかして、ゾンビも私の誕生日を知っていたのかしら?」
彼女は小声で付け加えた。その声はちょうど全員に聞こえるくらいの大きさだった。
この言葉は、沸騰した油に冷水が一滴落ちたようだった。
高橋隆が急に顔を上げ、凶暴な目つきで私を睨みつけた。
まるで私を問い詰めるかのように。
「お前はゾンビが来ることを前から知っていたんだろう?わざと今日を選んだのは、嫉妬のためか?」
「柔が来た最初の日から、お前は彼女に敵意を向けていた!今、彼女を陥れるために、みんなの命を犠牲にしたのか!」
私は隆の歪んだ顔を見て、突然とても馬鹿げていると感じた。
彼は柔をかばうために、ゾンビの大群が避難所を襲った責任を私のせいにしていたのだ!
一発の平手打ちが私の頬に強く当たり、焼けるような痛みが一瞬で広がった。
私はよろめいて後ろの金属製の棚にぶつかり、口の中に鉄錆のような味が広がった。
山田昭が私の襟をつかみ、目を剥いて怒鳴った。
「お前この売女がゾンビを引き寄せて皆を殺したんだろう!隊長に仕返しするためだけに!」
私は首を振り、涙で視界がぼやけた。
昭は私を地面に強く投げつけ、膝で私の腹部を押さえつけた。
後頭部がコンクリートの床に強く打ちつけられ、私は痛みで目の前が暗くなった。
見かねた人が走ってきて彼を止めようとした。
「佐藤夕がどんな人か知らないのか?彼女は子供たちに何度も補習をしてくれたじゃないか?前回のゾンビの大群が来たとき、誰が負傷者を背負って三里も走ったんだ?!」
「お前らには分からないんだ、ゾンビを引き入れたのは夕だ。そうでなければ、なぜ彼女だけが無事なんだ!」
昭の声が震え始めた。
「俺の母さん、俺の妻、そして俺の子供、お前はどうしてそんなことができる?」
より多くの人々が彼の言葉を信じるようになった。
周りの人々が徐々に集まってきて、赤く充血した目には憎しみが満ちていた。
彼らが私に近づいてくるにつれ、私は本能的に後ずさり、お腹を守った。
自分がここで死ぬと思った瞬間。
高橋隆が人々の間を通り抜け、再び私の前に立った。